コラム

社員満足度調査とは?有効活用のポイントを解説

社員満足度の向上は、社員個人の意欲を高め、組織を活性化し、ひいては顧客満足度の向上につながるため、重要な経営課題のひとつとなっています。それに伴い、社員の声を定量データで把握できるなどのメリットから、社員満足度調査が注目されているのです。社員満足度の向上がなぜ必要なのかを整理し、社員満足度調査の特徴、また調査を有効活用するポイントについて見てみましょう。

なぜ社員満足度を向上させるのか

社員満足度を向上させることで、優秀な人材の定着率を高め、長く企業内で活躍してもらうことができます。優秀な人材の定着は、新卒・中途を問わず、採用にも好影響を及ぼすでしょう。その結果、魅力的な商品開発や企画立案、サービス提供ができ、ひいては顧客の満足、業績向上につなげることができるのです。
また、顧客とじかに接する社員がいきいきと仕事している様子は、BtoB、BtoCといった業態にかかわらず、企業イメージの向上にも寄与するでしょう。

例えば、東京に本社を置くITベンチャーでは、ネットバブル崩壊後に離職率が30%まで到達しました。そこで、2003年から終身雇用制度の導入や、家賃補助の拡充といった福利厚生の充実を図ったのです。また経営者がブログを通じ、自身の考え方や事業ビジョンなどを積極的に社員と共有するなど、社員満足度の向上につながる対応策を実施。それにより離職率が下がり、採用面でも新卒女性の応募が増えるなどの効果が出ました。

社員満足度調査の特徴と、取り組むべき課題

社員満足度を知るには、定期面接の実施や、日々のコミュニケーションが重要です。しかしこれらの方法には、いくつか問題があります。社員が不満を正直に言えない、全社員に同じ問いを与えることができない、聞き手によってとらえ方が異なるといったものです。

社員満足度調査は、無記名が一般的なので、社員が不満を正直に表現できます。また、調査項目を平等に展開できるため、定期面接や日々のコミュニケーションで把握しきれなかった部分を補うことができるでしょう。

定量データとして社員の声を把握できるメリットはさまざまですが、特に比較や分析に役立ちます。継続的に実施、評価することにより、例えば前年との比較を行い、前年の調査結果を受けて実施した対応策が有効であったかを検証することが可能です。また、満足度の低い項目について、慢性的な課題があるのか、その時の特殊状況に起因するのかを分析することもできるでしょう。

ほかにも、社員の属性(部署や従事している職種、社歴など)でクロス分析を行うなど、多様な切り口から組織や制度の課題をあぶりだし、対応の優先順位をつけることも可能です。

例えば、「経営方針」「組織風土」「仕事内容」などについてアンケートをとります。満足度が低い項目が多岐にわたる場合、満足度の構造分析により、総合満足度と個別項目の相関性を分析します。総合満足度との相関が強いのに、満足度の低い項目は、優先的に対応をとるべきと考えられるでしょう。逆に満足度が低いけれども、総合満足度との相関が弱い項目は、様子を見るという判断ができるのです。

社員満足度調査を有効活用するポイントとは

社員満足度調査を実施しただけでは、社員満足度、また顧客満足度の向上にはつながりません。その後の対応が重要です。例えば、調査結果を受けて講じた対応策について、社員に対してフィードバックを行い、継続的に取り組むとよいでしょう。もし、対応策が直接的に効果を発揮しなかったとしても、「企業が社員満足度の向上に取り組んでいる」という姿勢は伝わりますし、それは社員満足度の向上にも影響します。

またCSRレポートなどで、積極的に社員満足度調査の結果を公開し、社員重視の姿勢をアピールすると、優秀な人材の採用につながります。さらに、組織改革に積極的な企業の姿は、投資家や株主へのアピールにもなるのではないでしょうか。

社員満足度調査を有効に活用できれば、社員満足度や顧客満足度の向上、ひいては業績の向上も期待できるといえます。