コラム

研修後フォロー:行動変容の確認

皆さまは耳にたこができるくらい聞いている言葉「PDCA」。
このサイクルがとても重要なのは言うまでもありません。
業務だけでなく、趣味や日常生活にも適用できます。では、その中で何が一番重要なのでしょうか。

どれも重要ですが、素晴らしいプランが立てられて実行されていながら「チェック」が出来ておらず改善に繋がっていない、というケースを私はよく見かけます。この場合、振り返り可能なプランになっていないために、チェックが出来ないという可能性があります。
ロジカルシンキングの基本手法である演繹法や帰納法により仮説を立て、振り返るポイントを明確にしながらプランを立てることも重要ですよね。

演繹法:一般的・普遍的な前提から結論を得る論理展開の方法
帰納法:様々な事例から結論を導き出す論理展開の方法)

一方、プランには問題が無いのにチェックを怠っているケースも多く見受けられます。
せっかく時間をかけてプランを作成しても、チェックを怠るだけで効果が半減してしまう可能性があるのです。
人材育成の研修でも「チェック」=「効果測定」は非常に重要です。

部下に対する研修前の動機づけ・意味づけは上長の重要な責務ですが、日常業務に追われる中、研修後のフォローも行うとなると、「どうすれば良いのか」と悩むかもしれません。
そんな時には、今年のATD国際会議で発表されていた「お金をかけず簡単に研修効果を測定する方法」が参考になります。

ATD国際会議(ATD International Conference & Expo)とは、通称ATDICE(アイス)と呼ばれ、世界120ヵ国以上、約40,000人の会員を持つ、人材開発に関する世界最大級の組織であるATD(Association for Talent Development)が年に一度開催している、人材開発や組織開発に関する世界で一番大きなイベントです。

研修の効果測定には「カーク・パトリックの4段階評価」がよく使われます。

レベル1:研修満足度(受講者にアンケート)
レベル2:学習到達度(習得した知識・スキルに関してテスト)
レベル3:行動変容度(職場での行動変化を本人・他者が評価)
レベル4:成果達成度(行動変化による業績向上レベルを確認)

多くの上長や育成担当者は、研修を受講した際には現場での行動が変わって欲しいと考えていることが多く、レベル3の測定が非常に重要になってきます。

ATD国際会議では「学習した内容を定着させることにフォーカスすること」に重きを置くべきだと言われていました。
このレベル3を簡単に測定するには、例えば「研修後に上司と受講者が一緒に昼食をとる!」勿論、一緒に食べる「だけ」では駄目です。受講者と食事をしながらリラックスした環境で、どのような変化が起きたのか、仕事にどのように反映しているのか、何か困っていることはないのか、などをヒアリングしたり、観察したりすることが大切なのです。

如何ですか、これなら手軽に出来ると思いませんか?
今まで手が付けられていない研修のフォローに対して、実践してみる価値はありそうです。