コラム

情報セキュリティ教育とは? 必要性や具体的な研修方法を紹介

企業がインターネット社会の中で事業を営むにあたっては、従業員への情報セキュリティ教育が不可欠といえます。本記事では、情報セキュリティ教育の概要や必要性、具体的な実施方法を解説します。知識と意識を醸成し、組織を脅威から守りましょう。

情報セキュリティ教育は不可欠

近年、多くの企業が情報セキュリティ教育を取り入れています。インターネットが広く普及し身近な存在になりましたが、同時にサイバー攻撃の脅威に晒されやすくなったからです。

情報セキュリティ教育とは

情報セキュリティ教育とは、サイバー攻撃やマルウェアへの感染といったセキュリティインシデントを防ぐための教育です。従業員に対してどのような脅威が存在するのか、またどういった経緯で事故が起きるのかといったことを周知し、注意喚起します。

不正アクセスやマルウェアへの感染などが発生すると、情報の漏えいや改ざんなどのさまざまなリスクが生じます。これらのリスクを回避するには、業務への取り組み方やルールを見直すほか、システムのセキュリティそのものを高める施策も必要です。

その中でも特に重要なのが、従業員のセキュリティリテラシー向上です。優れた防御体制を整えていても、結局のところ利用するのは「人」です。潜在リスクや対策について、しっかりと理解させなくてはなりません。

背景にサイバーリスクの深刻化

ネットワークを介したサイバー攻撃の手口は、年々巧妙化しており、多くの企業が被害に遭っています。総務省の「情報通信白書(令和2年版)」に掲載されているデータ(トレンドマイクロ「法人組織におけるセキュリティ実態調査2019年版」に基に作成)によると、セキュリティインシデントによる被害総額は、全体平均で2.39億円にのぼります。

参考:情報通信統計データベース https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd134120.html

パスワード付きZIPファイルや高度なランサムウェアなど、サイバー攻撃の手口はますます進化しています。このような脅威から組織を守るには、徹底した情報セキュリティ教育が必要です。またサイバー攻撃以外にも、システムの誤操作やデータの紛失、外出先への置き忘れなど、人為的なミスで情報漏えいが発生するケースも少なくありません。このような事故も、教育によるセキュリティリテラシーの向上で解決可能です。

情報セキュリティ教育の実施方法

情報セキュリティ教育が必要とはいうものの、具体的にどのような内容が効果的なのかわからない、研修がマンネリ化しているという企業経営者や担当者の皆さんもいらっしゃるかもしれません。ここからは、具体的な教育の実施方法について解説します。

セキュリティポリシーを策定・周知

セキュリティポリシーとは、外部からの攻撃や内部不正、ミスなどから組織を守るための方針です。教育を行う前に、まず組織全体でどのように対策を進めるのか、そしてどういった施策を実行するのかといった方針を決めます。

セキュリティポリシーを策定しただけでは、さまざまな脅威から組織を守ることはできません。実際に現場で働く従業員に周知できてこそ効果を発揮します。

従業員の中には、なぜこのようなポリシーが必要なのか、理解できない人がいるかもしれません。そのため、実際にどのような脅威や被害があるのか、事例を交えて伝えることも大切です。実例を伝えることで自分ごととして捉え、セキュリティポリシーを守る必要性を理解できるでしょう。

効果的な研修のタイミング

積極的に研修を実施し、迫りくる脅威や介在するリスク、対策などを指導しましょう。単発の研修では、きちんと理解できない可能性があるため、定期的な開催をおすすめします。

「同業他社がサイバー攻撃の被害に遭った」または「自社で危うく情報漏えいが発生しそうになった」というタイミングで開催するのもよいでしょう。具体的で身近な事例を知ることで、従業員の気が引き締まります。

新たに社員を採用したとき、部署異動があったとき、昇進時なども研修に適したタイミングです。扱う情報や業務に従事する環境が変わったときなどに、実施しましょう。

研修の対象者


研修の対象者は、社内で情報を扱うすべての人です。重要な情報を扱うわけではなくても、業務でネットワークを利用し機密情報に触れる従業員はすべて対象としたほうがよいでしょう。

情報を扱うのであれば、正規雇用の従業員だけでなく契約社員や外部委託先の社員も、研修の対象です。正規従業員だけに限定して実施しても、契約社員から情報が流出する可能性は十分あります。

また管理職を対象とした研修も、別途行うことがおすすめです。セキュリティ事故が発生したときは、管理職に連絡が入るケースが多いため、適切な対応をとれるよう十分な教育が必要です。

対象者の洗い出しに標的型メール訓練がおすすめ

教育が必要な従業員を洗い出すために、標的型メールを用いた訓練を実施してみましょう。疑似的な攻撃メールを配信し、クリックした者を対象に研修を行うのです。

セキュリティ意識が高い者であれば、怪しいメールを開くことはありません。一方意識が低い者は、疑いなくメールと添付ファイルを開いてしまいます。疑似的な攻撃メールの配信により、セキュリティ意識が低い従業員を抽出できるのです。

このようなトレーニングを、不定期かつ継続的に行えば、従業員の意識改革にもつながります。対象者の洗い出しだけでなく、意識改革を促すために実施するのもよいでしょう。

教育効果を定期的にチェックする

教育を徹底して行っているつもりでも、従業員の理解度が低いといったケースは少なくありません。これでは、万が一被害に遭ったときに迅速かつ的確に対処できず、大きな損失を招くおそれがあります。

教育効果を測るため、定期的なチェックが欠かせません。テストで従業員をスコアリングし、理解度を確認してください。理解度の低い従業員に対しては、再度研修や教育を実施します。

情報セキュリティ研修の事例

情報セキュリティ研修には、個人情報保護研修やセキュリティインシデント初動対応研修などがあります。ここでは、実際にどのような研修が行われているのか、内容を解説します。

個人情報保護研修

個人情報の取り扱いを学べる研修です。実際に発生しているサイバー攻撃の被害や、身近で起こりうるリスクを知ることができ、個人情報の取り扱いに関する意識が高まります。

最新の事例から学べるのも特徴といえるでしょう。コンサルタントが、最新の事例を取り上げて説明してくれるため、被害に至った経緯や具体的な対処の仕方まで学べます。

自社が抱える課題や置かれている状況などによって、研修のプログラムを設計してもらえるのも特徴です。

セキュリティインシデント初動対応研修

セキュリティインシデントが発生したときは、初動が重要です。初動が遅れ、誤った対応をしてしまうことで後々大きなダメージを受ける可能性があります。

こちらの研修では、セキュリティインシデントが発生したとき、どのような初動をとるべきかを学べます。疑似的にインシデントを発生させ、対応力を磨くのです。

最新の事例を活用し、さまざまな状況下における初動を学べるため、危機管理能力の育成に役立ちます。実際にシミュレーションで学ぶため、頭と体で学べるのも特徴といえるでしょう。

効率的にWeb研修を作成

Web研修は、オンライン上で研修できるのが魅力です。効率的にWeb研修を作成できるサービスもあるため、そのようなサービスを利用すれば、効果的に学べる研修を作れます。

ELNOならWeb研修を簡単に作成でき、従業員は自身のスマートフォンを使って研修を受けられます。理解度確認テストによる知識の定着など、セキュリティリテラシー向上につながる工夫が盛り込まれているのが特徴です。

管理ページでは、従業員の進捗が確認できます。必要に応じて、個々の従業員にメッセージも送信できるため、研修の進捗状況が思わしくない社員に対して受講を促すことも可能です。

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まとめ

サイバー攻撃や、情報セキュリティ事故に遭うリスクはどのような企業にもあります。万が一の際に情報漏えいや改ざんといった被害を被らないためにもセキュリティ教育を徹底し、組織の防御力を高めておいてください。

参考: 「情報セキュリティに関する資格とは?」

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