コラム

リーダーシップとは? 6つの種類と求められる能力

リーダーシップを発揮できる人材が組織を牽引することで組織がまとまり、結果として企業の持続的な成長につながります。本記事ではリーダーシップの定義や歴史、6つの種類とそれぞれの特徴について紹介します。記事の内容を理解し、今後の人材育成に役立ててください。

リーダーシップとは

リーダーシップとは、端的に表すと「リーダーが備えるべき資質・能力」のことです。本質的に求められる指導力や統率力そのものについて指す言葉です。自らが目標に向かって励む行動力だけではなく、メンバーに働きかけてモチベーションを上げるといった「人を動かす能力」が必要です。

では、リーダーやマネジメントといった語句とは何が異なるのでしょうか。

リーダーとの違い

リーダーとは「統率者」を指します。企業で言うと従業員の指導や育成を担うまとめ役を指します。前述のとおり、資質や能力を示すリーダーシップに対し、リーダーは「人」を指す言葉であるため、定義される対象が異なります。

マネジメントとの違い

しばしば混同される言葉に、マネジメントがあります。これは「管理・運営する機関・機能」を意味しており、組織が成長する上で達成すべき目標が順調に進んでいるのかを管理し、はたまた健全に運営されているのかをチェックするものです。ちなみにマネジメントが機能しているか監視する調整役がマネージャーです。

リーダーシップは資質・能力といった個人に対して求めるものであるのに対し、マネジメントは組織運営を表す言葉であるため、両者の定義するものが異なることは明らかです。

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「何が違う?リーダーシップとマネジメントの定義と必要な能力」

リーダーシップ理論の歴史

いつの時代もリーダーの存在は必要不可欠ですが、求められるリーダーシップは時代によって変化を遂げています。1900年代から研究がなされており、はじめは生まれ持った素質がリーダーシップの有無を左右するといった考え方の「特性理論」が提唱されていました。

その後、1940年代からは生産性と人間性の観点からそれぞれの行動を研究することでリーダーシップが持つ特性を見いだそうとした「行動理論」の考え方が中心となりました。

さらに1960年代後半になると、特定の行動ではなく状況に応じて、リーダーシップを使い分ける「条件適合型理論」が叫ばれるようになりました。

現在は、「コンセプト理論」が主流です。これは条件適合型理論を継承しながら、さらにビジネスシーンに落とし込んでその時々に必要なリーダーシップを細分化します。これまでよりも柔軟性や臨機応変さがより重要視されるものとなっています。

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主なリーダーシップ6種類と特徴

ハーバード大学大学院で博士号を取得し、教鞭を取っていた心理学者ダニエル・ゴールマンは「6つのリーダーシップスタイル」について提唱し世界的に話題となりました。ここではその6種類について紐解いてみます。

1. ビジョン型

自身が思い描いているビジョンをメンバーに示し、そのカリスマ性にメンバーが共感することで皆を統率できるタイプです。メンバーに示すのはあくまでビジョンであり、具体的な行動指針や方法ではありません。具体的な取り組み方などは、メンバーが考えます。

ただ、リーダーのビジョンを信じて行動するため、不信感を持たれると一気に機能が失ってしまう可能性があります。グループの不和を引き起こし、瓦解する可能性もあるため注意が必要です。

2. コーチ型

コーチ型は、個々のメンバーとしっかり関係性を築き、指導や教育を行うタイプです。一人ひとりにきちんと向き合い、コーチングするのが特徴です。一方的な方法を押しつけるのではなくあくまでも個々の考えを尊重するため、たしかな信頼関係を築けるでしょう。一人ひとりの能力を最大限引き出す指導を行うため、大幅な成長も促せます。

しかし、関係性の構築やメンバーの変化にはある程度時間を要するため、短期的な目標達成は困難です。長い目で見ると部下を成長させられるため、組織にとってはメリットが大きいといえるでしょう。

3. 民主型

民主型の指導者は、民主的な考えをベースにグループをまとめるタイプです。自身の考えや理想を一方的に押しつけるのではなく、さまざまな意見を引き出しながらグループの総意としてあらゆる意思決定を行います。

企業全体で抱える大規模な問題を解決するのに効果的ですが、一方で多数の意見を取り込むことで議論がまとまらず、決定が困難になるという側面があります。その結果意思決定が大きく遅れてしまうといったことも考えられるでしょう。

4. 専制型

指導者が、意思決定の権限を持つタイプです。方針や具体的な手法などをすべて指導者が決め、メンバーはそれに従って目標達成のために行動します。

メンバーは方向性や方法に疑問を感じても、命令に従わなくてはなりません。このタイプは災害発生時のように、素早い決断と行動が求められるようなシーンで力を発揮します。

5. ペースセッター型

ペースセッター型は、指導者がお手本となってメンバーを引っ張るタイプです。面倒なことや困難なことに対しても自ら率先して取り組むため、メンバーのモチベーションも上がります。

優秀なメンバーがそろっていれば、グループの長と同クオリティーで業務を進められるため効果的です。グループ全体のベースアップを図ることができ、企業活動では業績アップにもつながるでしょう。

ただし、指導者のスキルだけが高く、メンバーに力がない場合は注意が必要です。そうなるとリーダーだけが頑張ってしまい、負担が集中してしまうおそれがあります。「自分がお手本とならなければいけない」と強い責任感も伴っているリーダーであれば、なおさら負担が増え、心身に支障をきたしてしまうかもしれません。

6. サーバント型

サーバント型は、メンバーの成長を促せるよう、しっかりと寄り添って指導するタイプです。メンバーが成長できるように間近で奉仕し、友好的な関係を維持しつつ指導を行います。感情的な絆を構築することで、やる気を引き出すことができます。

ただ友好的な関係を維持したいがゆえに、メンバーがミスをしたときに厳しく接することができないおそれがあります。その結果、自身の思惑とは反対に、部下の成長を停滞させてしまうかもしれません。

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リーダーシップの発揮に必要な能力とは


リーダーシップを示すには、まず持ってメンバーにしっかりとビジョンを示す必要があります。ビジョンが明確でないと、部下はどこへ向かって走ればよいのかわかりません。方向性やゴールを示し、グループで一体となり突き進むためにも、明確なビジョンは必須です。

また、リーダーには情報収集の能力も求められます。常にアンテナを張り巡らせ、目標の達成に関わるあらゆる情報を収集しなければなりません。直接的に成果へ関わることだけでなく、部下が不満を抱いていないか、またメンタルに支障をきたしていないかといった情報も把握しておく必要があります。

そして、置かれた立場や状況に応じて、臨機応変な判断ができる能力も必要です。ビジネスの世界はスピードが重要です。今後も柔軟かつ臨機応変に判断し、的確な行動を速やかに起こせる能力が求められるでしょう。

まとめ

リーダーシップとは、リーダーが有するべき資質・能力のことであり、時代によって求められるものが変化しています。リーダーシップが発揮できる人材を育成できれば、組織全体に一体感が生まれ、困難にも立ち向かっていけるでしょう。結果として、企業の成長につながります。リーダーシップの6つのスタイルや必要な能力を理解した上で、目標達成に向かって組織を上手に牽引し、組織全体の人材育成に活用してください。