コラム

OJTの成功はリーダー次第 失敗しないOJT制度とは?

多くの会社が社員の人材育成のために取り入れている手法のひとつ、OJT。「On the Job Training」の略で、実際の職場で業務トレーニングをする手法です。主に新入社員の育成プログラムとして実施される場合が多く、職場の上司や先輩社員が教育係「OJTリーダー」として指導に当たります。

この制度の成功は、OJTリーダーにかかるといっても過言ではありません。
OJTリーダーの役割、OJTのメリットとデメリット、そして、OJTリーダーの重要性と会社のケアについて、新入社員の育成を例にとって考察します。

OJTのメリットとデメリット

OJTリーダーの役割は、新入社員と一緒に業務に取り組むことです。新入社員は、OJTリーダーの仕事を見ることでスムーズに仕事の流れを覚えられますし、社会人としてのふるまいや慣習も身につけられます。

新入社員とリーダー双方の成長

OJTの大きなメリットは、仕事そのものや社会人としての対応などの実践力を自社で育成できる点です。
また、教えられる新入社員だけでなく、教えるリーダー側も共に成長できることもメリットに挙げられます。
人は、「自分が知っていることを後輩に教える」ということを通じて、自分も成長することができるからです。

社会経験の少ない新入社員にとっては、わからないことがあったらすぐに聞ける環境なので、心配事や不安でストレスを抱えずに済むことも大きなメリットです。

業務負荷と質、OJTリーダーにかかるプレッシャー

メリットしかないように思えるOJT制度ですが、デメリットもあります。
そのひとつは、リーダーの負荷が大きいこと。リーダーは、日々の業務をこなしながら新入社員の面倒を見るため、物理的な業務量と心理的なプレッシャーにより負荷が増えます。

また、悩みの多い新入社員のメンタルケアも、新入社員にとっては大きなメリットですが、OJTリーダーにとっては負荷のひとつともいえます。
OJTリーダーに新入社員をメンタル面でのフォローをしてもらいたいという理由もあり、一般的に入社5年前後の社員がリーダーを担当することが多いのですが、年齢の面で新入社員に近く、フォローしやすくなる反面、全面的に悩みを引き受けてしまいがちなので心理的負荷が増加してしまうのです。

さらに、OJTの成果が、リーダーの質に左右されやすい点もあります。
多くの時間を過ごすことになるリーダーの質が低いと、教えられる側の仕事の質も当然下がりますし、モチベーションも上がりません。最初に間違った仕事の仕方を覚えてしまうと、その修正にまた別途指導が必要になるなど、時間も手間もかかってしまいます。

成功に必要なことはOJTリーダーの働きと会社のケア

OJTを成功させるには、前述した業務負荷や心理的負荷、リーダーの質といった課題をクリアする必要がありますが、そのためには会社のケアが必要不可欠です。

まず、OJTの意図や目的を会社と共有します。リーダーが困ったときや悩んだときに相談できるような仕組みも作っておきましょう。また、OJTリーダーの質を高め、ばらつきが出ないようにするためにも、OJTリーダーに向けて事前の研修が必要です。

OJTリーダーにすべてを任せるのではなく、会社としてしっかりとフォロー体制を整えることで、OJTの仕組みは機能するのです。

リーダーも新入社員も共に成長できるOJTを

OJTリーダーは、自分の業務と部下の育成と2つの重責を担います。OJTリーダーと新入社員は、どちらも大切な会社の財産です。
OJTの失敗で両者共倒れ……という結果を招かないためにも、OJTリーダーに配慮した人材育成の仕組みの構築を目指しましょう。