コラム

企業コンプライアンスの徹底強化!違反事例から重要性を解説

近年日本では、不正会計や過剰労働、情報漏洩や産地偽装など、コンプライアンス違反が明るみになった企業が行政処分や社会的非難を受け、事業が大きなダメージを受けることが少なくありません。昨今の情報化社会の発展もあって、このような不祥事のニュースはすぐに広く出回るようになりました。
「しまった」では済まされません。企業のコンプライアンス教育が徹底していないと、いつの間にか社員が不祥事を起こすこともあるのです。そうなる前にどんな対策を取るべきでしょうか。コンプライアンスにはどんな意味合いがあるのか、実際の違反事例なども含めて考えましょう。

企業が遵守すべきコンプライアンスの重要性とは?【徹底教育】

コンプライアンスは、法令遵守と訳される場合が多いですが、事実上は法令に限らず社会規範や企業倫理を守ることを指しています。ですから、法律に違反していないだけで安心することはできません。
コンプライアンス違反により社会的信用を失い、倒産に至った企業も数多くあります。逆にコンプライアンスを徹底することで、顧客や取引先から信頼を得られるといったプラスの効果を期待できます。
コンプライアンスは、社員全員による取り組みが不可欠です。一旦不祥事が起きると、直接関わった個人だけではなく、企業も責任を追及されるのが一般的だからです。賠償金や罰金、営業利益の減少といった直接的な金銭的損害も大きいですが、何より社会的信用の失墜や企業イメージダウンの影響は、長期的で計り知れません。

コンプライアンスの違反事例〜社員の「知らなった」では済まされない!

近年何かと話題になるコンプライアンスですが、対象となる範囲が相当広いので、一体何に気をつけるべきか把握しにくいのも実情です。コンプライアンス違反の代表的事例を挙げながら、主な違反項目についてまとめてみましょう。

情報漏洩

情報漏洩は消費者の信頼を失う大問題となります。2014年にはとある企業で、顧客の個人情報漏洩が発覚しました。業務委託先のエンジニアが個人情報を売った容疑で逮捕されただけでなく、経営に大きなダメージを与えました。同社の教育事業の会員数は、約1年で26%減少し、107億円の赤字となりました。経営陣も相次いで引責辞任しています。 情報漏洩には故意の売買のほかにも、不注意による紛失や外部からのサイバー攻撃によるものもあります。

不正会計

粉飾決算や脱税もよく報道されています。2015年にはとある企業で、長年の粉飾決算が発覚しました。株価が下落し、損失を被った銀行や個人投資家から損害賠償を請求されました。国内外で築いてきたブランドイメージも大打撃を受けました。

労務管理の不備

過剰労働や賃金未払いなどの問題も多くあります。2016年に発覚した、違法残業やパワハラによる電通女性新入社員の過労自殺は、大きな波紋を呼びました。労働基準法違反罪で刑事責任も問われています。

商品偽装

2007年には船橋吉兆で、賞味期限や産地の偽装、余った食品の使い回しが発覚しました。高級料亭としての信用が失墜し、結局廃業に至りました。コンプライアンス違反が致命的な影響を与えた一例です。

企業コンプライアンスにどう取り組むべきか?

コンプライアンスが包含する範囲は非常に広いため、単に大事だと強調するだけでは、どうすべきかが社員には伝わりません。では、どのように取り組んだらよいのでしょうか。


チームを作りルールを策定する

まず、コンプライアンスを推進するためのチームや委員会を作り、社内ルールを策定します。業界や企業により関係する分野は異なるので、自社が重点的に取り組むべき分野を見極めます。その分野に関係する法律や条例、業界の自主規制を確認しましょう。起こりがちな問題やリスクも考慮に入れます。漏れが無いように、専門家による資料や同業他社の取り組みも参考にするといいでしょう。

教育の仕方を考える

続いて、コンプライアンスの正しい知識を身につけさせるために社員をどう教育するかを考えます。ルールを明文化する必要があるとはいえ、単にルールを羅列した文書を作るだけでは不十分です。
このようなことがあったらどうするべきか、といったケーススタディは、コンプライアンス違反の未然防止に繋がります。そのため自社に起こりがちな問題を想定すると特に有効です。そのため、社内研修や自己学習ツールを社員に受講させる、社員が良く集まる場所にポスターを掲示するなど普段から目に留まるような啓発活動が必要であると考えます。

教育を徹底する

あとは実際にコンプライアンス教育を行うわけですが、1、2度やっただけで満足しないようにします。何度も繰り返して行うことで、会社がコンプライアンスをいかに重視しているかを社員が感じ取れるようにします。
また、管理職と新入社員、営業職と事務職では注意を向けるべき分野も異なりますので、役職や業種に特化した教育も必要でしょう。非正規社員も含めて、全従業員を教育します。一人一人が自分にとって身近な問題だと感じ、意識を高めてはじめて、企業全体のコンプライアンスが強化されます。

まとめ

コンプライアンスへの取り組みは、企業の持続性を大きく左右します。とはいえ、単に不祥事の発生を防ぐだけが目的ではありません。今の時代、コンプライアンスを重視していることは企業にとっての強みになり、プレゼンス向上にもつながります。

ルールを策定し教育を開始すること自体、時間を要する作業ですが、もっと大切なのは一過性の取り組みに終わらせないことです。社員の声を拾い上げて、現在のコンプライアンスの見直しを図りましょう。監査制度や社内通報制度を設けて違反を洗い出しましょう。内容のある取り組みを継続させることが成功の鍵です。