コラム

健康経営®とは? 効果やNTTグループの取組みを解説

近年、人的資本経営の必要性や健康経営優良法人をめざす企業数が増加しており、健康経営に対する注目度がますますあがっています。
健康経営を実践した企業は、従業員のモチベーション向上、パフォーマンス向上、ブランドイメージの向上などを実現しています。健康に着目することは、従業員のパフォーマンスを向上させ、企業の価値向上につながります。その点において、健康増進にかかる費用は、まさに単なる「コスト」ではなく、「人的資本投資」ということができるでしょう。
ここでは、健康経営に取り組む意義から、NTTグループで実際に行ってきた取組み、またその実践から見えた道筋を踏まえ当社が提供するソリューションの概要について解説します。
※健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です

Health Data Bank(健康データ管理・ストレスチェック)
https://www.ntthumanex.co.jp/service/health-databank/

1.健康経営とは?なぜ取り組むの?

健康経営とは

一般的に、健康経営とは、企業が経営戦略の1つとして、従業員のための健康づくりに積極的に取り組むことを指し、経済産業省では、以下のように定義しています。

健康経営が求められる背景

社会全体の変化

健康経営が、経営戦略上の重要な柱として位置付けられるようになった、最も大きな要因の一つは、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少です。生産年齢人口となる15~64歳の人口は、2020年から2040年で1,296万人減少する見込みです。具体的には2020年には5人チームだったところ、2040年にはそのうちの1人がいなくなり4人チームとなる計算です。 また、年々医療費の増加に伴う行政予算の圧迫と事業主負担の増加が叫ばれている昨今、就労世代の活力向上や健康寿命の延伸等を実現し、労働力を確保することが重要です。

労働市場の変化

社会全体の変化は、企業を取り巻く労働市場へも影響を及ぼしています。
生産年齢人口の減少により、人材不足が深刻化する中、企業が従業員を「選ぶ」時代から、「選ばれる」時代へと移り変わったことで、従来の終身雇用的な主従関係から、相互につながるパートナー的な対等関係へと変化をもたらしています。
また、優秀な従業員の獲得が激化する中で、企業は既存の従業員一人ひとりの生産性の向上にもより一層取り組まなければなりません。そのために、心身の健康を土台にしながら多様な価値観のもと、主体性を持ち、高いパフォーマンスを発揮できる人材・変化に対応できる人材となってもらう必要があります。
健康経営は、こうした労働市場の変化に対応する取組みとしても、今注目を浴びています。

2.NTT HumanEXが考える健康経営とは?

NTT HumanEXが考える健康経営とは

NTT HumanEXが考える健康経営は、従業員が病気でないだけでなく、よりイキイキと主体的に働ける状態をめざし、企業がそれをサポートすることが重要だと考えています。
また、従業員個人の健康に加えて、組織(チーム)も健康・健全であることも大切な要素です。
個人・組織の双方からのアプローチによるエンゲージメント向上を通じて、企業業績の向上につなげていくことを、健康経営の在り方として捉えています。

働く従業員も、経営陣も、誰しもが健康でありたいと願っています。でも、企業は人なりと言いながら、従業員の健康を個人任せにしていないでしょうか?貴社の経営陣は、自社製品の不良には敏感なのに、従業員の健康不良には無関心ということはないでしょうか?もしくは、うちは健康診断をやっているからとほったらかしになっていることはないでしょうか?
当社では、組織の健康=安定的な経営につながることから、健康に取組むのは個人だけではないと考えます。持続的に組織を成長させていくために、個人任せにせず、組織もまた自分事として捉えることが重要だと考えています。

NTTグループの取組み

取組みのきっかけ

NTTグループにおいて健康経営が本格的にスタートしたのは2018年。
メンタル不調者の抑制、医療費の削減を目指し、日本電信電話株式会社とNTT健康保険組合連携のもと、「健康経営計画」を策定したことを始まりとしています。
健康経営とは、従業員の健康管理を経営的観点から捉え、働き方改革と連動しながら、戦略的に実践する取組みであることが重要であると考えています。そのため、経営的手法を踏まえた定量的評価を可能とする「健康の見える化」が必須だとし、健康に関わる健康指標(目標)を設定するに至りました。

現在のNTTグループの健康経営と取組み

2018年の「健康経営計画」を起点として、毎年振り返りを加えながら、現在、NTTグループ内の目標値として設定されているKPI項目は以下です。


このKPIをベースに、健穂保険組合から各社への「健康スコアリングレポート」によるフィードバックや、その結果を踏まえた「グループ健康表彰」といった取組みを実施しています。


NTTグループでは、計画/KPIの設定~見える化~さらなる目標設定というPDCAサイクルの仕組みを確立し、各社の健康経営への取組みへとつなげています。
こうした各社の取組みが評価され、多くのNTTグループ企業が健康経営優良法人に認定されています。(2022年度NTTグループの健康経営優良法人認定数:71社)

現在のNTTグループの健康経営を象徴するワードとして「ワークインライフ」があります。ワーク(仕事)はライフ(生活・人生)の一部であることから、ライフそのものが豊かで充実したものとなることでワークも充実するという考えのもと、従業員の健康や安全、多様な働き方の実現に向け、健康経営に力を入れています。「ワークインライフ」の健康経営により、従業員のWell-being実現と、企業価値向上をめざしています。

3.NTT HumanEXの健康経営ソリューションって何?

NTT HumanEXでは、NTTグループ一体となって推進・培ってきた健康経営のノウハウや実績をもとに、2つの観点から健康経営ソリューションを提供しています。

①従業員個人の健康の実現

従業員個人の健康は、睡眠、運動、食習慣等様々な要素によって成り立っています。そのバランスが崩れると、勤務中のけがの恐れや病気による入院、出勤していても仕事に集中しきれていないもやもやした症状等、様々な健康不良が生じます。中でも当社は、出勤していても本来のパフォーマンスが発揮できていない状態に着目しています。

個人の健康不良による企業の損失 -プレゼンティーズム改善の重要性-


従業員が職場に出勤はしているものの、何らかの健康問題によって業務の能率が落ちている状況のことを『プレゼンティーズム』といい、企業の健康関連総コストのうち、最も高い比率を占めているともいわれています。 プレゼンティーズムは、企業から見ると間接的に生じているコストがゆえ、認識しづらいという点があります。



また、このプレゼンティーズムは、ストレスや睡眠不足といった、「我慢できる」「気のせいかも」「しばらくしたら収まる」といった感情になりやすいものに多く起因し、病院を受診するまでの判断には至らず、従業員個人としてもその状態を放置してしまいがちです。
しかしながら、こうした要因によるパフォーマンス低下を金額に表すと、多額な損失となっていることがわかります(左図)
例えば、メンタルによるパフォーマンス低下は、従業員1人あたりおよそ15,000円という結果がでており、従業員300人の企業では、年間1,800万円の損失がでている計算です。


プレゼンティーズム改善ソリューション

当社では、このように大きな損失につながっているにも関わらず、企業・個人双方から認識されずらく、埋もれてしまっているプレゼンティーズムの改善を課題と捉え、この課題解決を目指すソリューションを提供しています。
近年プレゼンティーズムは、健康経営銘柄の選定や健康経営優良法人の認定に活用される健康経営度調査においても、健康経営に関する指標の一つとして加えられていることからも、大きな損失に対する改善の重要性の表れと捉えています。

従業員個人の健康状態の改善はもちろん、ご利用企業様に向けても、利用データや各診断結果データ等の分析を通じた健康の見える化や、全体としてプレゼンティーズムが改善されたのか、次なる一手をどうするべきか、PDCAサイクルを一緒に回し、ご支援いたします。

▶プレゼンティーズム改善の観点の他にも、さまざまな健康経営ソリューションをご提供しております。
 詳しくはコチラ

②組織の健康の実現

組織の健康・健全化に必要な要素

従業員個人の健康に加え、組織も健康・健全であることも健康経営における大切なポイントです。Googleのピープルアナリティクスチームのリサーチでは、効果的なチームに必要なのは、「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」であることを突き止めています。リサーチの中では、チームの効果性に影響を与える要素を、次のように表しています。

チームの効果性に影響を与える要素
1.心理的安全性 「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられる
2.相互信頼 責任転嫁せず、仕事をやり遂げてくれると信じられる
3.構造と明確さ 職務上で要求されていること、その要求を満たすためのプロセス、そしてメンバーの行動がもたらす成果について、個々のメンバーが理解している
4.仕事の意味 仕事そのもの、またはその成果に対して目的意識を感じられる
5.インパクト 自分の仕事には意義があるとメンバーが主観的に思える

出典:Google合同会社 「「効果的なチームとは何か」を知る」,『Google re:work』

組織の健康・健全化に向けたソリューション

こうした組織の健康・健全化の課題の解決に向けて、当社では様々な施策や研修プログラムをご提供しています。

チームの効果性に
影響を与える要素
対応ソリューション
1.心理的安全性 ・心理的安全性醸成ツール「ココキビ」(動画・eラーニング型コンテンツ)
2.相互信頼 ・心理的安全性醸成ツール「ココキビ」(動画・eラーニング型コンテンツ)
・ウェルビーイングワークショップ
3.構造と明確さ ・ビジョン策定/ビジョン浸透研修
・職場環境へのポジティブアプローチ ▶資料ダウンロードはコチラ
4.仕事の意味 ・ジョブ・クラフティング ▶資料ダウンロードはコチラ
5.インパクト

現状の組織の健康・健全度合を見える化したい、組織の健康に向けて実施する施策の効果測定がしたいといったお悩みへはエンゲージメント診断の実施も有用です。
現状把握から、施策・研修のご提供、効果測定や振り返り、そして次のアクションの設計まで、組織の健康・健全化をトータルでご支援いたします。

4.おわりに

これまで企業経営と言えば、売上、利益、株主価値など財務的な側面が中心でしたが、非財務的側面への関心が高まっており、中でもイノベーションを生む源泉である人材を資本として捉える考え方が台頭してきています。健康経営は、このような企業の人的資本経営を進めるうえでの第一歩として、当社は考えています。

従業員の健康は、自己実現や自己成長をする土台であるため、身体を壊すとキャリアも人生も諦めないといけなくなるケースは少なくありません。当社は、そうして諦める人を減らしたいと考えています。
もし、従業員が「この会社で働くことで健康になれる」「リタイア後もやりたい人生が送れる」と思えたら、エンゲージメントがあがり、離職率の低下につながります。

企業の健康経営の実践に向けて、当社では、プレゼンティーズム改善による従業員個人の健康の実現と、組織の健康・健全化のご支援をしています。
VUCAといわれるこの時代に、常に変化し続ける・前進し続ける企業を目指し、健康経営への取り組みを今始めてみてはいかがでしょうか。

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