ウェルビーイング経営とは?実践するための施策例やメリットを解説
更新日:2026年8月7日
従業員のエンゲージメント低下や離職率の増加に、課題を感じていませんか?少子高齢化による人材不足が進むなか、従来の健康経営から一歩進んだ取組みとして「ウェルビーイング経営」が注目を集めています。ウェルビーイング経営とは、従業員の身体的・精神的・社会的な幸福を重視し、企業の生産性や持続的な成長へとつなげる経営手法です。
本記事では、ウェルビーイング経営の定義や、健康経営・人的資本経営との違いを整理した上で、離職防止や従業員満足度の向上といったメリット、自社に導入できる具体的な施策例をわかりやすく解説します。
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「お金・キャリア・健康」の3つの視点で考える、ライフデザインeラーニング
育児・介護・健康・資産形成など、社員が人生のさまざまな節目で直面するテーマを、「お金・キャリア・健康」の3つの視点から体系的に学ぶeラーニングです。金融教育やキャリア研修の枠を超え、仕事と生活の両面に役立つ知識を総合的に学び、自分らしい選択や行動につながる判断軸を育みます。
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ウェルビーイング経営とは?

ウェルビーイング経営は、従業員が身体的にも精神的にも、そして社会的にも良好な状態であることをめざす経営手法です。既存の経営アプローチとの違いを整理し、自社に合った施策を検討する土台をつくりましょう。
ウェルビーイング経営の定義と企業が取組む目的
ウェルビーイングとは、直訳すると「幸福や健康」を意味する言葉です。世界保健機関の憲章では、単に病気ではない状態ではなく、肉体的・精神的・社会的にすべてが満たされた状態と定義されています。これを企業活動に応用した考え方が「ウェルビーイング経営」と呼ばれます。企業がウェルビーイング経営に取組むのには、従業員一人ひとりがやりがいを持って働ける環境を整えたいという背景があります。仕事のストレスを軽減するだけでなく、職場の人間関係や個人のキャリア形成、さらにはプライベートの充実まで包括的に支える取組みと言えるでしょう。個人の幸福度が高まると組織全体の活力も底上げされ、企業の持続的な成長につながっていくと考えられています。
従業員の健康管理を重視する「健康経営」との違い
ウェルビーイング経営と似た言葉として「健康経営」が挙げられます。健康経営は、従業員の健康管理を経営的な視点から捉え、戦略的に実践する手法です。定期健康診断の受診率向上や長時間労働の是正、メンタルヘルス対策といった、身体的・精神的な健康の維持と増進に主眼を置いています。一方でウェルビーイング経営は、健康経営の概念をさらに拡張した考え方と言われています。病気や過労を防ぐといったアプローチに加え、従業員が社会とのつながりを感じ、仕事に誇りを持ち、経済的な不安なく暮らせるプラスの状態を生み出すことをめざす取組みと言えるでしょう。
人材を資本と捉え価値を引き出す「人的資本経営」との関連性
近年注目を集めている「人的資本経営」ともかかわる内容があります。人的資本経営とは、人材を消費する資源ではなく、投資によって価値を生み出す資本として捉える考え方です。ウェルビーイング経営は、人的資本経営を成功に導く土台の一つになると考えられています。従業員の幸福度を高める施策は、人材という資本の価値を最大化する上で効果的な投資になり得ます。心身ともに充実した従業員は創造性を発揮し、新しいビジネスのアイデアを生み出す原動力になってくれるでしょう。
【関連記事】「人的資本経営」の考え方 ~人材版伊藤レポートのその先へ | 社員のエンゲージメント向上を支援する 株式会社 NTT HumanEX
ウェルビーイング経営が注目を集めている背景
多くの企業がウェルビーイング経営に関心を寄せる背景には、社会構造の変化があります。人材不足や働き方の多様化といった外部環境の変化に対応するため、企業は従来の管理手法を見直しはじめています。
| 注目を集める背景 | 企業が直面している課題 | 解決の方向性 |
|---|---|---|
| 労働力人口の減少 | 優秀な人材の採用難と高い離職率 | 働きやすい環境を整備し人材定着率を高める |
| 価値観の変化 | 仕事だけでなく生活を重視するニーズの増加 | 個人のライフスタイルを尊重し柔軟な働き方を支援する |
| 従業員エンゲージメントの重要性 | 従業員のモチベーション低下による生産性の悪化 | 従業員の幸福度を向上させ自発的な貢献を引き出す |
| 法規制や社会的責任 | 労働関連法規の強化とコンプライアンス・情報開示への対応 | 法令を遵守し社会的責任を果たすことで企業価値と社会的信頼を高める |
労働力不足が深刻化し人材の確保・定着が急務とされるため
日本の労働力人口は、少子高齢化の進行により減少の一途をたどっています。総務省の統計では、生産年齢人口は今後も減少が続くと予測されており、企業にとって人材の確保は重大な課題の一つです。また、昨今の売り手市場における求職者は、給与だけでなく働きやすさや企業が従業員をどう扱っているかまで考慮する傾向が見られるようになりました。優秀な人材を獲得し、長く自社で活躍してもらうには、魅力的な労働環境の整備が鍵と言えるでしょう。ウェルビーイング経営は、他社との差別化を図り、選ばれる企業になるための有効な戦略として注目を集めています。
働き方が多様化しワークライフバランスが重視されるようになったため
新型コロナウイルスの流行を契機に、テレワークや時差出勤といった柔軟な働き方が広く普及しました。働く人々の価値観にも変化が生じており、仕事をしながらも、プライベートの時間や家族とのかかわりを大切にしたいと考える人が増加傾向にあります。会社に人生を捧げるといった従来型の価値観から、多様な働き方を尊重する考え方へと変化が進んでいます。仕事と生活の調和であるワークライフバランスを重視する姿勢を示すことが、現代の労働者のニーズに合致した取組みと考えられます。
【関連記事】ワークライフバランスが改善できる段取り上手な人の効率的な仕事のコツ | 社員のエンゲージメント向上を支援する 株式会社 NTT HumanEX
従業員エンゲージメントの向上が企業の業績に影響するため
従業員が会社に対して抱く貢献意欲を示すエンゲージメントは、企業の業績と相関関係があるとされています。エンゲージメントの高い従業員は、自発的に業務に取組み、顧客に対して質の高いサービスを提供しようと努める傾向にあります。一方、従業員の不満や不公平感が解消されない組織では、業務上のミスが生じやすくなり、組織全体の生産性低下につながる可能性があります。従業員の幸福度を高める取組みは、単なる福利厚生の充実にとどまらず、企業の収益性を高めるための直接的なアプローチと考えられます。
【関連記事】エンゲージメント経営とは?注目される背景や導入するメリットを解説 | 社員のエンゲージメント向上を支援する 株式会社 NTT HumanEX
法規制の強化や社会的責任への対応が企業に求められているため
近年、働き方改革関連法の施行や労働安全衛生法の改正など、従業員の健康と働きやすさを守るための法規制が強化されている傾向にあります。長時間労働の是正や有給休暇の取得義務化などにより、企業は従業員の心身の健康に配慮した職場づくりを法的に求められています。加えてESGやSDGsへの関心の高まりを受け、投資家や取引先、消費者が企業の社会的責任(CSR)を評価する動きも広がりつつあります。ウェルビーイング経営は、法令遵守と社会的責任を果たしながら、企業価値や社会的信頼を高める取組みの一つとして注目されつつあるのです。
ウェルビーイング経営の導入で得られるメリット

ウェルビーイング経営の導入によって得られる効果は、従業員個人の健康から企業のブランド価値まで幅広く及ぶとされます。ここでは、ウェルビーイング経営がもたらす代表的なメリットを整理します。
| メリットの領域 | 主な効果 |
|---|---|
| 従業員の健康・メンタルヘルス | 心身の不調を予防し、健やかに働ける状態を保つ |
| 従業員満足度 | 働きがいや会社への信頼が高まる |
| 生産性 | 心身の安定から、仕事に集中して取組める |
| 離職防止・人材確保 | 定着率が向上し、採用面でも有利になる |
| 社会貢献・SDGs | 持続可能な社会づくりへの取組みとして評価される |
| 顧客満足度・企業ブランド | 従業員の充実が顧客対応の質を高める |
従業員の健康増進とメンタルヘルスの改善
ウェルビーイング経営の出発点となるのが、従業員の健康を守る取組みです。健康診断の充実や運動機会の提供によって、生活習慣病などの身体的なリスクを減らす効果が期待できます。働く人が健やかであることは、企業活動を支える土台になり得ます。近年は特にメンタルヘルスへの配慮が重視される傾向にあります。長時間労働の是正やストレスチェックの活用により、心の不調を早い段階で察知できるようになったと言われています。また、心理的安全性を確保した相談しやすい職場環境を整えれば、従業員は安心して働けるでしょう。心身の両面から支える姿勢が、健康増進の効果を大きく高めてくれるはずです。
【関連記事】メンタルヘルスの意味と現状。企業でできる対策とは | 社員のエンゲージメント向上を支援する 株式会社 NTT HumanEX
従業員満足度の向上
健康への支援が整うと、次に高まりやすいのが従業員の満足度です。会社が自分の幸福に関心を持ってくれていると感じられれば、働く意欲も自然と前向きになるでしょう。日々の業務への納得感を支える土台にもなり得ます。満足度の向上は、柔軟な働き方や公正な評価制度とも結びついているとされます。たとえばテレワークやフレックスタイムの導入は、生活と仕事の調和を後押しする施策の一つです。一人ひとりが自分らしく働ける環境では、会社への信頼も育ちやすくなると考えられるでしょう。
生産性の向上
満足度が高まった従業員は、心身ともに良好な状態で働きやすくなり、仕事に集中して取組めるようになるでしょう。心身が安定している状態では、判断の質やアイデアの発想力も高まると考えられ、組織全体の生産性を底上げする効果も期待できます。生産性の向上は、日々の業務スピードや成果の質にも表れやすいです。無理を重ねずに働ける環境ではミスや手戻りが減り、限られた時間で成果を出しやすくなるはずです。心に余裕があるからこそ、周囲と協力しながら新しい発想を生み出す動きも活発になるでしょう。
従業員の離職防止
働きやすい環境が整えば、従業員は長く会社に雇用されたいと考えるようになります。心身の負担が軽く、満足度の高い職場では、離職の理由そのものが減少すると考えられます。定着率の改善は、採用や教育にかかるコスト削減にも影響するでしょう。離職を防ぐ上で大切なのは、日常の小さな不満やストレスを放置しない姿勢です。定期的な面談やアンケートを通じて従業員の声を拾い上げ、必要な改善につなげる取組みが信頼を育てていきます。安心して長く働ける環境が整うほど、経験を積んだ人材が社内に残り、組織の力として蓄積されていくと考えられます。
社会課題への貢献
ウェルビーイング経営は社会全体にも広がりを見せています。従業員の健康と幸福を守る取組みは、長時間労働やメンタル不調といった労働環境の課題解決にもつながると考えられています。企業が率先して働き方を見直す動きは、社会全体で働く人を守る流れにも波及するでしょう。国連が掲げるSDGsとも関係の深いテーマと考えられます。なお、SDGsとは、2030年までに達成をめざす持続可能な開発目標のことです。特に「すべての人に健康と福祉を」や「働きがいも経済成長も」といった目標にも直接つながる領域と言えるでしょう。社会課題の解決に寄与する企業として、外部からの評価も高まっていくと期待されます。
【関連記事】SDGsが「常識化」する中での人材育成とは | 社員のエンゲージメント向上を支援する 株式会社 NTT HumanEX
顧客満足度向上とブランドロイヤルティ向上
従業員の満足度や働きがいの向上は、顧客との関係性の強化にもつながることが期待されます。心身が満たされた状態で働く人は、丁寧で質の高い対応を自然と行えるようになり、働き手の余裕が、そのままサービスの質にも表れるでしょう。顧客に提供する良質な顧客体験は、企業への信頼を醸成する基盤となります。また、従業員を大切にする企業姿勢は、ブランドイメージや企業価値の向上にも寄与する要素の一つです。こうした信頼の積み重ねは、継続的な利用や選択につながり、ブランドロイヤルティの向上にも寄与すると考えられます。
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ウェルビーイング経営を導入する際の注意点
ウェルビーイング経営は多くのメリットをもたらす一方で、導入の進め方を誤ると十分な効果を得られない可能性があります。ここでは、導入時に押さえておきたい代表的な注意点を整理します。
| 注意点 | 起こりやすい問題 |
|---|---|
| 導入コスト | 制度づくりや設備投資で費用負担が増える |
| 効果の見えにくさ | 成果を数値で示しづらく、評価が難しい |
| 既存文化との摩擦 | 従来の慣習が新しい取組みの妨げになる |
| 従業員間の不公平感 | 施策の恩恵に偏りが生じ、不満につながる |
導入コストが発生する
ウェルビーイング経営をはじめる際には、一定の費用が必要になります。健康支援の制度設計や研修、職場環境の整備などには、相応の投資が求められます。特に導入の初期段階では、目に見える支出が先行しやすくなるでしょう。費用負担を理由に取組み着手を後回しにする企業も存在します。しかし、コストを抑えながらはじめられる施策も数多くあります。たとえば、勤務時間の柔軟化に向け既存制度の利用促進を促したり、設置済の相談窓口をより使いやすくするなど、既にある制度を広めていく施策は、比較的少ない負担で実現できるでしょう。自社の規模や予算に合わせて優先順位を決めることが、無理のない第一歩になります。
効果が数値化しにくく成果が見えにくい場合がある
ウェルビーイング経営の効果は、すぐに数字として表れるとは限りません。従業員の幸福度や働きがいは、売上のように単純な数値で測りづらい性質を持っているため、成果が見えにくいと感じる場面も出てくるでしょう。目に見える結果として算出するには、従業員満足度調査やストレスチェックの結果を、定期的に記録していく方法がおすすめです。離職率や欠勤日数の変化も、間接的な指標として参考になります。複数のデータを組み合わせれば、取組みの手応えを少しずつ可視化できるでしょう。
既存の文化や慣習が導入の障害になりやすい
新しい取組みは、これまでの企業文化と衝突する場面もあるでしょう。長時間労働を是とする風土や、休暇をとりにくい雰囲気が残っていると、施策が形だけのものになりがちです。制度を整えても、現場に浸透しなければ効果は限定的になる恐れがあります。文化を変えるには、経営層の姿勢が鍵になると言えるでしょう。トップが率先して新しい働き方を実践すれば、従業員も安心して続けやすくなるはずです。一度にすべてを変えようとせず、小さな成功を積み重ねましょう。
従業員間での不公平感が生まれる可能性がある
施策の設計を誤ると、従業員の間に不公平感が生じる場合があります。たとえば在宅勤務の制度が一部の職種にしか適用されないと、対象外の人は不満を抱きやすくなる可能性があります。偏りは、職場の一体感を損なう原因になり得ます。不公平感を防ぐには、できるだけ幅広い従業員が恩恵を受けられる工夫が必要です。職種ごとの事情に応じて、複数の選択肢を用意する方法も考えられます。さらに、制度の目的や対象を丁寧に説明すれば、納得感を高めるために役立つでしょう。全員が公平に支えられていると感じられる設計が、健全な運用を後押ししてくれるはずです。
ウェルビーイング経営を成功に導くポイント

ウェルビーイング経営を組織全体に定着させ、従業員の幸福と企業の成長を両立させるためには、いくつかのポイントを押さえるのが求められます。ここでは、施策を成功へと導くための具体的な視点を整理します。
| 成功のポイント | 取組みの方向性 |
|---|---|
| 経営層の主体的な関与 | トップが目的やビジョンを発信し、率先して実践することで全社へ浸透させる |
| 課題の把握と優先順位づけ | データから自社の課題を明確にし、効果の高い施策から段階的に導入する |
| 効果測定と継続的な改善 | 定期的に成果を可視化し、従業員の声を反映して改善サイクルを回す |
| 外部の専門家・サービスの活用 | 専門家やサービスを取り入れ、負担を抑えながら質の高い支援を実現する |
経営層が率先して取組み全社へ浸透させる
ウェルビーイング経営を成功させる第一歩は、経営層が主体的に関与する姿勢を示すことです。施策を人事部門だけに任せてしまうと、現場への浸透が進まず、形だけの取組みに終わりがちです。トップが自らの言葉で目的やビジョンを発信し、率先して新しい働き方を実践することで、従業員も安心して制度を活用できるようになるでしょう。ウェルビーイングを経営方針として全社に位置づけ、管理職を巻き込みながら推進する体制を整える必要があります。
自社の課題を把握し優先順位を決めて進める
効果的な施策を打つためには、まず自社が抱える課題を正確に把握することが求められます。従業員サーベイや離職率、健康診断の結果といったデータを分析し、どの領域に問題があるのかを明らかにしましょう。課題が見えれば、限られた予算やリソースの中でも優先順位をつけて取組めるようになるはずです。すべてを一度に変えようとするのではなく、効果が見込める施策から段階的に導入していくのがおすすめです。自社の規模や状況に合った無理のない計画を立てることで、成果へと着実につなげていけるでしょう。
効果を測定し従業員の声を反映して改善を続ける
ウェルビーイング経営は、導入して終わりではなく見直しを重ねることで効果が高まっていきます。従業員満足度調査やストレスチェック、離職率の推移などを定期的に測定し、施策の手応えを可視化するとよいでしょう。数値で表れにくい効果も、複数の指標を組み合わせることで傾向をつかめます。集めた従業員の声を施策に反映し、改善のサイクルを回し続ける姿勢が大切です。自分たちの声が反映される実感は従業員の信頼を育み、組織全体のエンゲージメント向上にもつながっていきます。
専門家や外部サービスを活用して戦略的かつ効率的に推進する
ウェルビーイング経営を自社のリソースのみで推進しようとすると、ノウハウの蓄積や施策の推進スピードの面で限界が生じる場合があります。産業医やカウンセラー、専門のコンサルティングやサーベイツールなど、外部の知見を戦略的に組み合わせることで、施策の精度とスピードを両立できると考えられます。たとえば、サーベイツールで従業員の状態を可視化し、その結果をもとに専門家と改善策を設計する方法があります。勘や経験に頼らず、データにもとづいた施策を設計し、効果的にウェルビーイング経営を推進できるでしょう。また、福利厚生の一環としてキャリアや健康を学べるコンテンツを用意することで、限られた予算の中でも幅広い支援を従業員に届けられます。自社の強みと外部の専門性を適切に役割分担させることが、ウェルビーイング経営を成果に結びつけながら継続的に推進していく鍵となるでしょう。
ウェルビーイング経営を実現する7つの施策例
ウェルビーイング経営の概念を現場に落とし込むためには、具体的な行動が求められます。ここでは、企業が取組みたい代表的な7つの施策例を解説します。
| 施策 | 具体的な取組み例 | 期待される従業員への効果 |
|---|---|---|
| 働き方の柔軟化 |
フレックスタイム制 テレワークの導入 |
生活スタイルに合わせた労働環境 |
| 職場環境の整備 |
快適なオフィス設計 休憩スペース・騒音対策 |
集中力の向上と心身の負担軽減 |
| 健康とメンタル支援 |
定期的な1on1面談の実施 外部相談窓口の設置 |
ストレス早期発見と心理的ケア |
| コミュニケーション促進 |
社内交流イベント ピアボーナス制度 |
心理的安全性と帰属意識の向上 |
| キャリアと働きがい |
プロセス評価の導入 資格取得支援 |
成長実感とモチベーション向上 |
| ライフイベント支援 |
資産形成サポート 介護に関する情報提供 |
将来不安の軽減と生活基盤安定 |
| 従業員の声の収集 |
従業員サーベイ 匿名アンケートの実施 |
継続的な改善と信頼関係の構築 |
柔軟な働き方を導入し働きやすさを高める
従業員の生活スタイルに合わせて働ける環境を提供することは、ウェルビーイングの基盤となります。テレワークやフレックスタイム制を導入し、働く場所や時間の制約を減らすことで、通勤による疲労を軽減し、育児や介護と仕事の両立を後押しできるでしょう。有給休暇を取得しやすい風土を育てることも大切です。時間単位で取得できる有給休暇制度や、男性の育児休業取得の推進など、制度を形だけでなく実際に利用できる状態に整える工夫が求められます。働き方の選択肢が増えることで、従業員は生活の充実感を得やすくなるでしょう。
職場環境を整え快適に働ける空間をつくる
従業員のメンタルヘルスを守る上で、日々過ごす職場環境そのものを見直す姿勢も求められます。自然光を取入れた明るいレイアウトや、集中と休息を切り替えられる休憩スペースの設置、騒音対策などを行うことで、心身の負担を軽減しやすくなるとされます。快適で安心できる職場環境は、集中力や生産性を高めるだけでなく、従業員が長く健康に働き続けられる基盤にもなり得ます。
面談や相談窓口で心身の健康を支える
従業員の健康状態を定期的に把握し、不調のサインを早期に発見する仕組みが求められます。上司との1on1ミーティングを定期的に実施し、業務の進捗だけでなく、体調や悩みを気軽に相談できる場を設けるとよいでしょう。社内の人間関係に悩んだ際やメンタルの不調を感じた際に、匿名で相談できる外部の専門窓口を設置することもおすすめの手段の一つです。産業医やカウンセラーと連携し、プライバシーが守られた状態で適切なアドバイスを受けられる体制を整えることで、重篤な問題への発展を防ぎやすくなるはずです。
社内交流を活性化し良好な関係を築く
職場の人間関係は、従業員の幸福度に少なからず影響を与えると言われています。部門を超えた交流を促すために、社内イベントや部活動、ランチ補助制度などを導入し、業務外でのコミュニケーションの機会を増やしていくとよいでしょう。オンラインのチャットツールや社内SNSを活用し、気軽に雑談や情報共有ができる仮想空間を設けることも、特にテレワーク主体の職場では大切な視点です。お互いの顔が見え、感謝や賞賛を伝え合えるピアボーナス制度などの導入で、心理的安全性の高い職場環境の構築につながるでしょう。
評価やキャリア支援で働きがいを生む
仕事に対するやりがいを引き出すためには、公正な評価と成長の機会を提供する姿勢が求められます。結果だけでなく、目標達成に向けたプロセスや挑戦する姿勢を評価する制度へ見直すことで、従業員のモチベーションも高まりやすくなるでしょう。将来のキャリアパスを示し、希望する部署への異動を申請できる社内公募制度や、資格取得の費用補助など、自己研鑽を支援する仕組みを整えることも大切です。自分の成長が会社の発展につながっていると実感できる環境こそが、働きがいの創出につながるはずです。
福利厚生を整え将来の不安を軽減する
従業員は仕事以外にも、結婚や子育て、介護、老後など、さまざまなライフイベントに直面します。節目ごとに生じる経済的・心理的な不安を軽減するには、住宅手当や家族手当といった従来型の福利厚生に加え、人生設計そのものを支える視点が求められます。会社が自分の人生全体を応援してくれていると感じられる環境は、従業員エンゲージメントを高める土台になるでしょう。具体的なライフイベント別の支援内容については、後述の「ライフデザイン支援」の項で詳しく解説します。会社が自分の人生全体を応援してくれていると感じることで、従業員エンゲージメントも高まりやすくなるでしょう。
従業員サーベイで声を集め改善につなげる
ウェルビーイング経営を効果的に運用するには、施策を一方的に進めるのではなく、従業員の声を継続的に収集し、データにもとづいて改善する姿勢が求められます。匿名性を確保したアンケートを実施すれば、職場環境や経営施策に対する率直な意見を集めやすくなるでしょう。専門のサーベイツールを活用すると、回答データを効率的に集計・分析でき、迅速な施策立案にもつながります。調査結果を全従業員と共有し、具体的な改善アクションプランを設定するのがおすすめです。声が施策に反映される実感は、従業員の信頼とエンゲージメントを高める鍵になり得ます。
従業員の将来への不安を解消する福利厚生としてのライフデザイン支援とは?
ウェルビーイング経営を進める上で、いま重要性が増しているとされるのが「ライフデザイン支援」です。給与や休暇といった従来型の福利厚生だけでは、結婚・出産、住宅購入、介護、老後といったライフイベントに伴う漠然とした不安を解消することは難しくなってきています。仕事の領域を超えて、従業員一人ひとりの人生設計をサポートする取組みへと、企業に求められる役割が広がっているとも言えるでしょう。ここからは、ライフデザイン支援の中身と、ウェルビーイング経営に寄与する理由について解説します。
ライフデザイン支援とは
ライフデザイン支援は、お金・キャリア・健康・家族といった人生のテーマを横断的に扱い、ライフイベントごとに直面しやすい不安や課題に対応します。ここでは、代表的な支援内容を整理します。
| ライフイベントの例 | 抱えやすい不安や課題 | ライフデザイン支援の例 |
|---|---|---|
| 結婚・出産・育児 |
教育費の増加 休業中の収入減 |
ライフイベントに伴う経済的不安を軽減する情報提供 |
| 親の介護 |
介護と仕事の両立 介護費用の負担 |
介護と業務の両立を支える相談機会の提供 |
| 老後・セカンドキャリア |
定年後の生活資金 再就職への不安 |
資産形成やセカンドキャリアに関する学びの機会提供 |
ライフデザイン支援がウェルビーイング経営に貢献する理由
ウェルビーイング経営では、心身の健康だけでなく、将来への不安なく働き続けられる環境づくりも重要な要素です。ライフデザイン支援はその領域をカバーする施策であり、従業員が抱える将来不安を軽減しながら、仕事への集中力・エンゲージメント・定着率の向上につなげます。ここからは、ライフデザイン支援によって得られる代表的な3つのメリットを紹介します。
メリット1.ライフイベントに伴う不安を軽減し、業務への集中を支援する
従業員が抱えるストレスの要因は、必ずしも職場の人間関係や業務量だけとは限りません。私生活における結婚資金の不安、子どもの教育費の負担、親の介護問題など、個人のライフイベントに伴う悩みも深刻であると言えるでしょう。将来に対する漠然とした不安を抱えた状態では、目の前の業務に集中しきれず、パフォーマンスが徐々に低下してしまいかねません。介護などを理由に離職を選択せざるを得ない状況になることもあるでしょう。ライフデザイン支援によって私生活の不安を早い段階から軽減する取組みは、個人のためだけでなく、企業の生産性・人材定着の観点からも重要な施策の一つと考えられます。
メリット2.経済的安定とセカンドキャリアを後押しする
ライフデザイン支援の中でも特に効果的とされるのが、お金とキャリアに関する学びの機会提供です。外部の専門家によるマネーセミナーの開催や、セカンドキャリアの構築を支援する研修などを通じて、従業員の金融リテラシーやキャリア形成力を高められるでしょう。計画的な資産形成の方法を知ることで経済的な不安が和らぎ、定年後の働き方や生き方について早期から考える機会を得ることで、将来への見通しも立ちやすくなるはずです。目の前の仕事にも前向きに取組めるようになり、長期的な活躍を後押しする土台になるでしょう。
メリット3.自律的に学べる環境がエンゲージメントを高める
ライフデザイン支援を成功させるには、会社が一方的に制度を押し付けるのではなく、従業員が「自分に必要だ」と感じる情報を自ら選んで学べる環境を整えることが求められます。人によって直面している課題や関心事は異なるため、選択肢の幅と学びやすさが重要になります。自律的に学ぶことで自分の人生を管理できているという感覚は、個人の自信につながります。そして、キャリアや人生設計を後押ししてくれる会社に対して、従業員は信頼と愛着、貢献意欲を抱くようになるでしょう。前向きな関係性が積み重なることで、組織全体のエンゲージメントも高まりやすくなるでしょう。
「ライフ・トリニティ」で実現するライフイベントに備えた福利厚生
従業員が抱える不安は、仕事上のストレスだけではありません。結婚や出産・育児、教育費、住宅購入、介護、セカンドキャリア、老後など、人生の節目ごとにお金やキャリアにまつわる悩みが生まれることが多いでしょう。こうした不安は働きがいや仕事への集中、そして従業員エンゲージメントにも影響するとされるため、従業員一人ひとりの人生設計を支える取組みは、ウェルビーイング経営の具体策として注目されています。
ライフイベントに備える福利厚生施策の一つとしておすすめなのが、NTT HumanEXが提供するeラーニング「ライフ・トリニティ」です。お金・キャリア・健康という3つの視点から、従業員が自分に関係するテーマを選んで深堀し、自身のライフデザインに必要な知識を習得できます。 ライフイベントへの備えを会社が後押しする姿勢は、従業員が長く健やかに働き続けられる土台づくりにも役立つはずです。
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まとめ:ウェルビーイング経営で従業員の幸福と企業の持続的成長を両立する
この記事のポイントをまとめます。
- ウェルビーイング経営とは、従業員の身体的・精神的・社会的な幸福を重視する経営手法
- 健康経営の概念を拡張し、人的資本経営を支える土台となる取組み
- 離職防止や従業員満足度・生産性の向上、企業価値の向上といったメリットが期待できる
- 柔軟な働き方や相談窓口、福利厚生の拡充など、自社に合わせて導入できる施策が豊富
- 効果を継続的に測定し、従業員の声を反映して改善を重ねることが成功の鍵になる
自社の課題に合った施策から、ウェルビーイング経営の第一歩を踏み出してみましょう。


