心理的安全性が高い職場とは?特徴や低い職場との違い・チェック項目を解説
近年、チームのパフォーマンス向上や離職率の改善につながる要素として「心理的安全性」が注目を集めています。しかし、良好な人間関係が保たれているだけの職場との違いがわかりにくく、自社の現状をどのように評価すればよいか判断に迷う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、心理的安全性が高い職場の具体的な特徴や、低い職場との違い、心理的安全性の向上によって得られるメリットを詳しく解説します。あわせて、会議での発言分布や失敗共有のスピードなど、自社の状態を客観的に把握するためのチェック項目もご紹介します。
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話しやすい職場、で終わらせない心理的安全性とは?
- 沈黙・同調圧力・本音不足への向き合い方
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- 学びを定着につなげる4つの特徴
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心理的安全性が高い職場とは?

心理的安全性の高い職場とは、和やかさを保つ環境というだけではなく、誰もが率直に意見を述べ、失敗や異論を組織の知見として蓄積できる状態を意味します。ここでは、心理的安全性の高い職場の本質と価値を整理します。
仲のよさではなく率直に意見を交わせる状態
心理的安全性が高い組織とは、メンバー同士が単に仲がよいだけの関係をさすわけではありません。むしろ、高い成果を出すために必要な率直な意見や、これまでのやり方を見直すような異論を、誰もが気兼ねなく口にできる状態を意味します。自らの発言によって人間関係が損なわれたり、評価が下がったりする心配がないという安心感があることで、本質的な議論が成り立つと考えられます。誰も反対意見を口にできない組織は、一見すると平和で円滑に見えるかもしれませんが、思ったことを素直に発言できない状態は、心理的安全性が高い状態とは言えないでしょう。健全な意見の衝突を恐れず、よりよい成果を追求するために率直な対話ができる環境を整えるのが大切です。
失敗や異論が共有され 学習と改善が進んでいる
組織が成長し続けるためには、日々の業務の中で生じるミスやトラブルから学ぶ姿勢が求められます。心理的安全性が確保されている職場では、失敗の責任を個人だけに求めるのではなく、チーム全体の財産として迅速に共有されます。誰かがミスをしたとき、ミスを責めるのではなく、なぜ起きたのかという背景や仕組みの不備に目を向けます。リーダーの方針に対して異論を唱えることも歓迎されるため、多様な視点からリスクを洗い出し、業務プロセスを継続的に改善していくサイクルが自然と回るようになるでしょう。
心理的安全性が高い職場に見られる特徴

心理的安全性が十分に確保されている職場には、日常の業務やコミュニケーションにおいて共通するいくつかの特徴が存在するとされます。これらの特徴は、メンバーがどれだけ自然体で仕事に向き合えているかを示す重要なサインと考えられます。
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メンバー同士が遠慮なく質問や相談ができる
心理的安全性が高い職場のわかりやすい特徴の一つは、些細な疑問や業務上の悩みをすぐに周囲へ相談できることです。「無知だと思われるかもしれない」「相談することが評価に悪影響を及ぼすかもしれない」という不安を抱かずに済めば、業務を中断して一人で課題を抱え込む時間が短くなるでしょう。上司や先輩も、質問されることを歓迎し、丁寧に対応する文化が育まれるはずです。結果、業務のボトルネックが早期に解消され、チーム全体の生産性が向上する効果が期待できます。
失敗を隠さず共有し再発防止策を全員で議論できる
ミスを犯してしまった際、叱責されることを恐れて報告が遅れてしまう事態を防げる点も、大きな特徴の一つです。心理的安全性が高い環境では、失敗は挑戦の結果であり、改善のためのデータであるという認識が共有されます。当事者は素直に事実を打ち明け、周囲も犯人探しをするのではなく、どうすれば同じミスを防げるかという仕組みづくりに焦点を当てた議論を展開します。前向きな対応が、さらなる安心感を生み出す好循環につながっていくと考えられます。
立場に関係なく自由にアイデアを提案できる
心理的安全性が高い環境は、組織の階層や社歴にとらわれず、誰もが自由にアイデアを発信できる環境が整っています。新人であっても、既存のルールに疑問を持ち、より効率的な方法を提案するハードルは高くないでしょう。リーダー自身も自分の考えが必ずしも正しいわけではないという謙虚な姿勢を持っていることが多いため、メンバーは自分の意見が真剣に自分の意見が尊重されていると感じ、率直な対話が生まれやすくなります 。風通しのよさが、組織全体の活力を底上げする原動力となるでしょう。
違いを受け入れ多様な価値観を尊重し合える
メンバーそれぞれの強みや弱み、異なる背景から生まれる多様な価値観が互いに尊重される環境が理想的です。自分と違う意見を持つ人に対して排他的になるのではなく、むしろ新しい視点を提供してくれる存在として歓迎する風土を構築できるとよいでしょう。マイノリティな意見であっても切り捨てられることなく議論の対象として共有され、多角的な検討が行われるようにします。多様性を受け入れ合う文化を醸成することは、心理的安全性を育む重要な要素となるのです。
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心理的安全性が低い職場と高い職場の違い
自社の状態をより正確に把握するために、現在の環境が心理的安全性が低い職場と比較して何がどのように異なっているのかを知っておきましょう。ここでは、組織の成果に影響する本質的な違いについて詳しく解説します。
| 比較の観点 | 心理的安全性が低い職場 | 心理的安全性が高い職場 |
|---|---|---|
| トラブル発生時の対応 | 個人に原因を求め叱責する | 仕組みの不備を特定し改善する |
| 会議でのコミュニケーション | 同調が求められ異論が出ない | 建設的な意見の対立が歓迎される |
低い職場は個人に原因を求め、高い職場は仕組みの改善を重視する
何か問題が起きたとき、心理的安全性が低い職場では、誰がやったのかという原因追及が優先される傾向にあります。個人の不注意や能力不足に原因を求め、叱責することで解決したとみなすケースも少なくないでしょう。一方、心理的安全性が高い職場では、なぜそのミスが起きたのかというプロセスやシステムの不備に注目します。チェック体制は適切だったか、業務量が偏っていなかったかなど、構造的な問題を見つけ出し、次からミスが起きないような仕組みをチーム全体で構築していくプロセスをたどります。
低い職場は同調を求め、高い職場は建設的な意見の対立を歓迎する
心理的安全性が低い職場では、上司の意見や多数派の考えに合わせることが暗黙のルールとなりがちであり、異論を唱える人は協調性がないとみなされることもあります。誰もが当たり障りのない発言に終始してしまい、新しいアイデアが生まれにくいでしょう。一方、心理的安全性が高い職場では、よりよい結論を導き出すために意見を交わす健全な議論が推奨されます。意見が対立しても、目的は相手の人格の否定ではなく、仕事の質を高めるためのプロセスであるという共通認識が共有されていることが多いです。
心理的安全性が高いことで得られるメリット
心理的安全性を高めることは、企業がビジネスで競争優位性を保つための強力な武器となり得ます。ここでは、企業にもたらされる具体的なメリットについて紐解いていきます。
| 得られるメリット | 従業員への影響 | 組織全体への影響 |
|---|---|---|
| 従業員エンゲージメント向上 | 自分の意見が尊重され、仕事へのモチベーションが高まる | 自発的な貢献が増えチーム成果が向上する |
| イノベーションの促進 | 型にはまらない発想を安心して発信できる | 多様な視点が結びつき新しいアイデアが生まれる |
| 人材定着率の改善 | 働きがいと居心地のよさを両立できる | 離職率が下がり優秀な人材が長期的に蓄積される |
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メリット1:仕事への意欲が高まり従業員エンゲージメントが向上する
自分の意見が尊重され、チームの一員として受け入れられているという安心感は、従業員のモチベーション向上につながるとされます。指示された業務をこなすだけでなく、組織の目標達成に向けて自発的に貢献しようとする意欲が高まる効果が期待できます。会社に対する信頼感や愛着が深まることで、従業員エンゲージメントのスコアも自然と上昇していくでしょう。一人ひとりのパフォーマンスが引き出され、チームとしての成果にもよい影響をもたらすはずです。
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メリット2:活発な議論からイノベーションを生み出せる
既存の枠組みにとらわれない新しいアイデアは、自由で活発な意見交換の中から生まれると考えられます。心理的安全性が確保された職場では、型にはまらない発想であっても一方的に否定されることがないため、ブレインストーミングなどの手法が機能しやすくなります。異なる専門知識を持つメンバーの視点が組み合わさることで、これまでにない新しいサービスや、業務プロセスの改善策が生み出される可能性が高まるでしょう。
メリット3:働きがいと居心地の両立で人材定着につながる
どれほど給与や待遇がよくても、人間関係に強いストレスを感じる職場で長く働き続けるのは難しいでしょう。心理的安全性が高い職場は、精神的な安心感という居心地のよさと、自分の意見が仕事に反映される働きがいの両立が図られている環境と言えます。従業員にとってよい環境は重要な価値となり、離職率の低下に貢献するはずです。優秀な人材が定着し、長期的に組織へ貢献することは、企業にとって大きな資産の一つになるでしょう。
自社の心理的安全性が高いかを知るためのチェックポイント

心理的安全性の重要性を理解した後は、自分たちの職場が現在どのような状態にあるのかを客観的に評価することが求められます。主観的な感覚だけでなく、具体的な行動や事象にもとづいたチェック項目を設けることで、隠れた課題が見えてくるはずです。
ポイント1:会議で全員が発言できているかを確認する
会議での発言状況は、議事録や録画を使えば客観的にチェックできます。直近3〜5回分の議事録を対象に、参加者ごとの発言回数と発言時間を集計し、上位1人の発言時間が全体の50%を超えていないか、1度も発言していないメンバーが2割以上いないかを確認しましょう。オンライン会議であれば、ZoomやTeamsに搭載されている発言時間の分析機能や、AI議事録ツールの話者別集計を活用すると計測の手間を省けます。定量データで発言の偏りが確認できた場合は、ファシリテーターが順番に発言を促す、匿名の投票ツールで意見を集めるなど、次回会議で試す打ち手を1つ決めておくとPDCAを回しやすくなるでしょう。
ポイント2:問題や課題が速やかにリーダーに共有されるかを確認する
問題共有のスピードは、「事象の発生日時」と「リーダーへの一次報告日時」を突き合わせることで数値化できます。過去3か月分のクレーム・システム障害・納期遅延などのインシデント記録を棚卸しし、発生から報告までの平均リードタイムと、24時間以内に報告された割合を算出してみましょう。さらに、報告経路が特定の中間管理職で止まっていないか、口頭のみで文書化されず経営層に届いていない事例がないかも合わせて確認します。もし報告の遅延が一定見られる場合は、報告ハードルの高さや「叱責される」という懸念が根底にある可能性が高いため、ヒヤリハット報告制度の匿名化や、報告者を称賛するルールの導入など仕組み面での対応を検討するのが望ましいです。
ポイント3:挑戦に伴う失敗が評価に過度な影響を与えていないか確認する
挑戦と評価の関係は、人事評価シートと挑戦案件リストを照合することで検証できます。直近1〜2年の評価データから、新規業務や難易度の高いプロジェクトに取組んだメンバーの評価推移を抽出し、成果が出なかった場合に評価がどの程度下がったか、プロセスや学びが評価コメントに反映されているかを確認しましょう。加えて、社内アンケートで「失敗しても再挑戦できる環境だと思うか」を4段階で聞き、肯定回答が7割を下回る部署は要注意領域と位置づけるというような方法もおすすめです。評価制度そのものに減点主義が組み込まれている場合は、挑戦目標を評価項目に加える、失敗事例の共有会を評価対象とするなど、制度・運用の両面から見直すことで、挑戦が正当に扱われる仕組みを整備できるでしょう。
心理的安全性を客観的に測り改善するための方法
チェックポイントを通じて自社の課題が見えてきたら、次はより正確に現状を測定し、具体的な改善に向けて動き出すステップに入りましょう。どのような方法があるかを整理していきます。
| 測定と改善の手段 | メリット | 注意点やリスク |
|---|---|---|
| 社内アンケートの実施 | コストをかけずに手軽に開始できる | 誰が書いたか特定されることを恐れ本音が出にくい |
| 外部専門調査の導入 | 匿名性が担保され客観的なデータが得られる | 導入に一定の費用と時間がかかる |
| 改善施策の実行 | 調査結果にもとづくピンポイントな対処ができる | 継続的なフォローがないと元の状態に戻る |
社内アンケートで全体の意見を集める
手軽に現状を把握する方法として、社内のシステムを使ったアンケート調査が候補に挙がるかもしれません。しかし、心理的安全性がそもそも低い組織の場合、この方法は望ましくない結果につながることがあります。従業員は、誰がどのような回答をしたかが人事や上司に特定されるのではないかと疑い、当たり障りのない無難な回答をしてしまう可能性があるためです。本当の課題を可視化できず、誤った認識のまま改善策を進めてしまう恐れがあります。
外部の専門調査で組織の現状と課題を可視化する
従業員の率直な意見を収集するためには、第三者機関が提供する外部の専門調査ツールの導入がおすすめです。外部のシステムを利用することで匿名性が担保されやすくなるため、従業員は安心して率直な回答をしやすくなるでしょう。蓄積されたデータや他社との比較スコアをもとに、自社のどの部署のどの項目に課題があるのかを客観的に分析できます。
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調査結果にもとづく改善施策を実行し継続的にフォローする
調査によって自社の心理的安全性のスコアや弱点が明確になった後は、課題に合わせた施策を実行し、効果を継続的にフォローする取組みを続けていくことが重要です。一度の調査で現状を把握して終わりにするのではなく、施策の実施後に再度同じ指標でスコアを測定し、変化の有無を追跡することで、取組みが実際に機能しているかを客観的に判断しやすくなるでしょう。効果測定の頻度は、半年〜1年に一度など、組織のフェーズや施策の内容に応じて設計するのが理想的です。フォローの過程で当初想定していなかった課題が新たに明らかになることも少なくないため、測定結果を踏まえた施策の調整を定期的に行うことが、心理的安全性を安定的に維持・向上させる上で大切な視点の一つになると考えられます。
なお、心理的安全性を高めるための具体的なアプローチや、低い職場に見られるサインについては下記記事で詳しく解説しています。チェック項目や調査によって課題が浮かび上がった方は、あわせてご覧ください。
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チームの成果最大化を支援するeラーニング「攻めの心理的安全性」
心理的安全性の高い職場づくりが進まない要因として、良好な人間関係と心理的安全性を混同していることや、率直な意見を歓迎する基準が管理職とメンバーの間で共有されていないことが挙げられます。NTT HumanEXが提供するeラーニング「攻めの心理的安全性」は、失敗を学習に変える文化、表面的な配慮ではなく本質的な対話、同調ではなく率直さなど5つの転換軸を通じて、めざしたい職場像を全従業員の共通認識として整理するサービスです。動画視聴+シンキングタイム約60分の内容で、学習しやすいマイクロラーニングにより、用語の理解に留まらず、意見の対立を成果に活かすための思考と行動まで扱える点が大きな特長です。
まずは「攻めの心理的安全性」で、自社やチームの成果最大化に向けコミュニケーションの土台を整えるところからはじめてみてください。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- 心理的安全性が高い職場とは、良好な人間関係だけでなく率直な意見交換や失敗の共有ができる状態をさす
- 高い職場の特徴は、質問・相談のしやすさ、失敗の共有、自由な提案、多様な価値観の尊重の4点
- 低い職場は個人の責任追及や同調を求める一方、高い職場は仕組みの改善と建設的な意見の対立を歓迎する
- 心理的安全性の向上は、従業員エンゲージメント強化・イノベーション創出・人材定着といったメリットにつながる
- 会議の発言分布や問題共有のリードタイム、挑戦と評価の関係を確認することで、自社の状態を客観的に診断できる
自社の現状を正しく把握したうえで、外部調査や研修などの適切な施策から、心理的安全性の高い組織づくりに踏み出してみてください。


